アイドルにはコンセプトが必要、とよく言われます。
しかし、
「コンセプトってそもそもなに?」
「アイドルのコンセプトってどんなものがいいの?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、アイドルのコンセプトについてお伝えします。
具体的には、
- アイドルのコンセプトとは?
- 変わったアイドルのコンセプトの事例
- アイドルのコンセプトを決めるメリット
の順番で、大事なポイントに絞ってご紹介していきます。
併せて、アイドルのコンセプトの作り方もご紹介しますので、どうぞ参考にしてください。
目次
アイドルのコンセプトとは?
コンセプトとは、一貫した考えのことです。
主に、広告・企画・新商品など、マーケティング関係でよく使われる言葉です。
コンセプトと似たような言葉に、「テーマ」があります。
この2つは混同されがちですが、簡単に説明するとテーマは「何を」、コンセプトは「どうやって」を決めること。
テーマを実現するための手段として、コンセプトがあるんですね。
アイドルのコンセプトとは、そのアイドルが打ち出す世界観のこと。
たとえば、病み・ロック系・オフィス系など、多様なコンセプトが存在します。
コンセプトを重視する理由は、アイドルが飽和状態だから。
現在のアイドル業界には、メジャーなアイドルから地下アイドルまで含めれば、数多くのアイドルが活躍しています。
大勢のアイドルがいる中で選ばれるためには、ほかとは違う要素が大事。
奇をてらった要素や際立った個性がないと、埋もれてしまうと言われるほどです。
「私はこんなアイドルです」と独自の個性を打ち出すために、コンセプトが必要になるんです。
アイドルのコンセプトを決めるメリット
アイドルのコンセプトを決めるメリットは、大きく分けて3つあります。
- ①聴き手やメディアの印象に残りやすい
- ②曲やパフォーマンスを決めやすい
- ③コンセプトが刺さると熱狂的なファンになりやすい
順番に説明していきます。
①聴き手やメディアの印象に残りやすい
目立つコンセプトがあれば、それだけで注目されるポイントになります。
いまやアイドルには、独特なコンセプトや世界観が不可欠。
背景には、「少しでもファンの心に響かなければ目立たない」という過酷な競争があります。
大切なのは、どんな理想の世界を見せていくか?
たとえばAKB48のコンセプトの1つに、「成長を応援するアイドル」があります。
AKB48のデビュー当時は、革新的なコンセプトでした。
レッスンの風景やレッスン時の喜怒哀楽の表情を、惜しみなくファンに伝えること。
そしてダメだった時の「悔しい」という感情をそのままカメラにぶつけること。
そこにはコンセプトである「成長を応援するアイドル」が映し出されています。
当時のアイドルは、ステージの裏側を見せないのが普通だったので、努力しているありのままの姿を見せるのは、めずらしいことでした。
その結果、ファンの感情移入を誘い、大きな人気につながりました。
他とは違うことをしている・ほかのアイドルにはない魅力がある。という点があると、聴き手やメディアの印象に残りやすくなります。
②曲やパフォーマンスを決めやすい
コンセプトがあると、曲や衣装を決めやすくなります。
コンセプトに沿った曲や衣装があるメリットは、独自の世界観を演出できること。
たとえば乃木坂46の衣装は、「フランス領にある女学校の生徒」をコンセプトにデザインされています。
長めに設定されたスカート丈が、おしとやかで清楚な印象を添えています。この印象が魅力となって、多くのファンを惹きつけるんですね。
さらに女性ファンが、同じ衣装を着てライブに参加することで,ハロウィンのようにみんなで一緒に楽しめる空間ができあがります。
一方、コンセプトがはっきりしないと、どういったライブをするか方向性に迷うデメリットがあります。
曲作りや衣装はもちろん、コンセプトがあいまいだと、メンバーを募集しても思うように人が集まりません。
このようにコンセプトは、曲やライブでのパフォーマンスを決めることにも、重要な役割を果たしています。
③コンセプトが刺さると熱狂的なファンになりやすい
コンセプトが刺さると、熱狂的なファンを生み出します。
「これ自分にもある!」という共感が強烈な感情移入を誘い、見ている人を熱狂的なファンへと変えていきます。
良い例なのが、デビュー当初のAKB48。
当時のターゲットは秋葉原に集まるオタク男子たち。大衆向けではなく、あえて彼らが楽しめるようなイベントを行い続けました。
握手会・選抜総選挙など、特定のメンバーを応援するほど人気が上がるシステムは、オタク男子たちを熱狂的なファンに変えていきます。
そして一部の熱狂的な盛り上がりが、メディアの注目を呼び、やがて日本中に広まっていきました。
このように、刺さるコンセプトは熱狂的なファンを生み出します。
ただし「みんなが好きそうなコンセプトを作る」は逆効果。
ターゲットを広くすると、かえって誰にも刺さりません。
あえてターゲットの狭いコンセプトを掲げることで、熱狂的なファンを獲得できるんです。
変わったアイドルのコンセプトの事例
アイドルの変わったコンセプトの事例として、次の4例を紹介します。
- おデブ
- 仮想通貨
- パチンコ
- その他
コンセプトの中には、アイドルからは連想しづらいものもあります。
しかし、だからこそ強烈なギャップが生まれ、印象に残りやすくなるのがメリット。
ひとつずつ紹介していきます。
おデブ
肥満落下系堕天使アイドル びっくえんじぇるは、おデブをコンセプトにしたアイドルグループ。
もともとは天界にいた天使が、太り過ぎて空から落ちてきたという設定。
歌って踊って痩せることができれば、天界に戻れるので、堕天使アイドルというネーミングです。
このコンセプトの画期的な点は、自分たちを「ぽっちゃりじゃなく、デブ」と言い切るスタイル。
体型管理が重要なアイドル業界において、太っているだけでも、大きなギャップがあります。
また大食い企画ができるのも、おデブならではの特徴ですね。
どんなファンがいるのか気になるところですが、大半を占めるのは女性ファン。
公式YouTubeの閲覧者は91%が女性、そしてライブを観に来るファンも7割が女性です。
最大の魅力は「笑われたり見下されたりしても、私たちが一生懸命パフォーマンスをすることで、少なからず人の心を動かせる」という意識の高さ。
「デブという言葉がマイナスにならない世界を作りたい。その言葉に傷つく人がいないようにしたい」という理想の世界を演出しています。
このような点が、多くの女性ファン獲得につながっています。
仮想通貨
仮想通貨少女は、仮想通貨をコンセプトにしたアイドルです。
「投機や投資を勧めるのではなく、未来ある仮想通貨の正しい知識をエンターテイメントで広めるユニット」として活動しています。
メンバーは全員、プロレスのマスクを被ってパフォーマンスをするのも特徴。
顔全体が見えていないため、謎めいたところも魅力のひとつです。
ただしファンからは「マスクはしないほうがいい」との声が多数あるようです。
楽曲は、仮想通貨のメリット・デメリットを歌とダンスでおもしろく表現しています。
最大の特徴は、支払い方法にコンセプトの仮想通貨を導入していること。
仮想通貨少女のライブ入場料、物販などはすべてビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨で決済しています。
メンバーへの給料もビットコイン支給という徹底ぶり。
仮想通貨の流出問題が起こった際、運営側から日本円での支払いを提案されたが、メンバー側が断ったというエピソードもあるほどです。
このように一貫したコンセプトは、海外からも大きな反響を得ています。
パチンコ
サンスポアイドルリポーター(Sanspo Idol Reporter、通称:SIR)は、パチンコをコンセプトにしたアイドルユニット。
パチンコホール内での活動があることから、メンバーは18歳以上(高校生不可)。アイドルとしては年齢層が高めのグループ。
パチンコというコンセプトから、活動はパチンコやパチスロホールでのイベントが多いです。
ほかにも全メンバーによるパチンコ・パチスロ実戦対決をニコニコで生放送。
パチンコ雑誌でのインタビュー記事見開きカラーなど、パチンコ・パチスロに関するイベントに広く出演しています。
コンセプトを明確にすると、関連するイベントに呼ばれやすい好例でもあります。
またメンバーは卒業後パチンコライターに転身するなど、コンセプトを貫いています。
その他
その他にも、病み・釣りといった変わったコンセプトのアイドルをご紹介します。
病んでいる女の子をコンセプトにした“メンヘラ”アイドル「病ンドル」
参加条件は、病みと共存する人という個性的なアイドルグループ。
オーディションの応募条件も「病んでること」が条件という筋金入りの病み属性。
本当に病んでいるので、ほかのアイドルのように明るく元気に振る舞うことができません。
病んでることがコンセプトなので、無理に笑顔を作る必要もなくなり、かえって最高のパフォーマンスを発揮できるようになりました。
ただし病んでいるため、ライブ当日にメンバーがそろわない・自立・卒業・脱退が多いというのが悩み。
釣りをコンセプトにしたアングラーズアイドルは、一般社団法人 日本釣用品工業会が設けたアイドル企画
アングラーとは趣味で釣りをする人のこと。
釣り人口を増加させる取り組みの1つとして、はじまったのがきっかけです。
毎年、ジャパンフィッシングショー(現:釣りフェスティバル)で、アングラーズアイドルが決定します。
見事栄誉に輝いたアイドルは1年間テレビやラジオ、雑誌やイベントなどで釣りの魅力をPRできます。
アイドルのコンセプトの作り方
アイドルのコンセプト作りで大切なのは、一緒に作り上げていけること。
やみくもにコンセプトを作っても、だれの心にも響きません。
人はありふれたものやどこかで見たことあるものは、普通と判断します。
普通では人の心が動かないように、コンセプトがありきたりでは、人の心に響きません。
そのため、どんな理想の世界を見せていくかが重要になるんです。
たとえばAKB48が見せている理想の世界は、会いに行けるアイドル・成長を応援するアイドル。
アイドルのありのままの姿を見せて、努力している姿に視聴者の共感を誘う。
画面の向こうにいるアイドルではなく、実際に会いに行ける。ファンと一緒に成長するアイドルが、AKB48が見せる理想の世界です。
現代では、ファンと同じ目線に立つ・ファンの意見を反映できる人が、人気を集めやすくなりました。
支持されるのは、完璧な人よりも、ファンに応援されやすい人。
ファンと一緒に作り上げていけることが、コンセプト作りのコツになります。
アイドルのコンセプトはプロに考えてもらうのも手
コンセプトを自分たちで決めるのもよいですが、コンセプト作りに迷うことがあります。
そんなときは、事務所のプロに決めてもらうのも一手です。
アイドル事務所には経験豊富なプロが多いので、そのノウハウやアイディアに頼るのもよいでしょう。
そして事務所がコンセプトに沿った売り方をしてくれるので、リピーターの獲得率も高くなります。
たとえば韓国アイドルでは、コンセプト変更によって、人気上昇した例がいくつもあります。
逆に、コンセプトを変更したら人気が下がった例もあるので、コンセプトの大切さがわかります。
自分でコンセプトを作るには、セルフプロデュース能力が不可欠。
しかし、全てのアイドルがセルフプロデュースできるわけではありません。
コンセプト作りに行き詰ったときは、オーディションに合格して、事務所のプロに決めてもらうのも一手です。
まとめ:アイドルを目指すならコンセプトも意識しよう
記事の内容をまとめると、以下のようになります。
- コンセプトとは、アイドルが打ち出す世界観
- コンセプト作りで大切なのは、一緒に作り上げていけること
- ターゲットの狭いコンセプトを掲げると、熱狂的なファンを獲得できる
コンセプトは、ファンを獲得する上で大切なもの。
アイドルはどんなコンセプトを打ち出すかで、成否が分かれるといっても過言ではありません。
コンセプトを意識して、アイドルとしての個性を出していきましょう。